東南アジアの仏教遺跡を訪ねる旅が2003年末〜2004年初のボロブドゥールでおおむね一段落し、2005年は海外へ出かける余裕がなかったため、今年のゴールデンウイークはミャンマーへ行こうと早くから決めて航空券の手配もしていたのですが、仕事の都合でこの時期の見通しがきかなくなったためにミャンマー行きは断念することになりました。しかし、4月も中旬になると図らずも5月にまとまったオフをとれることがはっきりしてきたので、それならと前々から気になっていたアメリカ大陸の遺跡を見る旅に出ることにしました。メキシコのアステカやマヤの遺跡とペルーのインカ遺跡のどちらにするか多少迷いましたが、せっかくのオフなのでより遠く日数もかかりそうな南米を優先することにして、某社の添乗員付きツアーに参加することにしました。
振り返ってみると、インカ文明には中学生の頃から興味があって、岩波新書の「インカ帝国」(泉靖一著)は何度読み返したかわかりませんし、同じ頃にフォルクローレのレコードも買って聴いていました。スイス人ケーナ奏者レーモン・テヴノーを中心とするコンフント・マチュ・ピチュという楽団のレコードはジャケットにマチュピチュの写真が使われていて、とりわけ旅情をそそりました。マチュピチュに憧れたからこのレコードを買ったのか、このレコードを買ったからマチュピチュに興味を持ったのかはよく覚えていませんが、多分に「ジャケ買い」であったのは間違いありません。

それはともかく、意気揚々と申し込んだこのツアー。行程は下の表のとおりでコンパクトな日程の中に見どころのツボをしっかり盛り込んだプランになっていますが、若干移動がきついのと、何より旅の中核をなすクスコ2泊〜プーノ1泊の3泊4日は富士山頂くらいの標高に滞在し続けることになるため、高度障害への対処がポイントになります。実際、後述するように参加者が一人ダウンしてしまってどうなることかと思ったのですが、敏腕添乗員Sさんの獅子奮迅の活躍と他の参加者の皆さんの協力とでなんとかことなきを得ました。
また、マチュピチュの奥に聳える岩峰ワイナピチュは、山屋の私にはやはり気になる存在。上のレコードのジャケットの写真でも、その山頂近くに段々畑のようなものが見えていて興味をそそります。調べてみると往復2時間あれば余裕で登ってこられるようなのですが、ツアー出発の3日前(ちょうど「予習」として見に行った「世界遺産ナスカ展」の会場にいたときでした)に事前確認として添乗員Sさんから電話がかかってきたときについでに訊いてみました。
J「マチュピチュの見学時間はどれくらいですか?」
S「2時間半です」
J「その中に自由行動時間はあります?」
S「全部ガイドによる引率と説明になります」
J「(少し落胆して)するとワイナピチュに登る時間はありませんね?」
S「それはクスコからマチュピチュ日帰りでは無理ですね」
ま、急遽参加を決めたお仕着せのツアーなのだから仕方ないかな、と納得して電話を終えたのですが……。