Eddie JobsonのUKZがついに今年始動し、1月にはニューヨークで初ライブを行ったという話題は、以前紹介したとおりですが、そのUKZがアンドフォレスト・ミュージックのプロモートによって来日するというのでびっくり。うーん、できることならウ○ーに招聘してもらいたかったような気もしますが、ぜいたくは言っていられません。とにかく東京での2回の公演を、両方とも聴きに行くことにしました。
来日初日のこの日の会場は、ロックのライブとしては異例に思える九段会館(調べてみると案外ライブ会場としても使われているようですが)。18時開場予定が25分押したので、しばらくは入口前の駐車場で開場を待ったのですが、見れば見るほどUKZの音楽とは相容れないたたずまいです。

ようやく入場して、まずはTシャツをゲット。表にはメンバーの顔、裏は今回の日本ツアーの会場が記された黒いシャツが3,500円。他には各種CDやポスターなども売っていたようですが、何しろ狭い通路に押し合いへし合いでの販売の上、「お釣りの10円玉がありません!」などとたわけたことを言っている様子でしたので、さっさと引き上げて場内に入りました。座席はなんと前から4列目で、しかもうれしいことにEddieの手元が見える位置。Eddieのキーボードは2台で、下は不明ですが、上のシンセサイザーにはKORGのロゴがありました。メンバーの配列は下の写真(主催者からのプレゼント)の通りで、向かって左端にEddie、前列中央がヴォーカルのAaron Lippert、上手がギターのAlex Machacek、奥の下手がウォーギターのTrey Gunn、上手にドラムのMarco Minnemann。19時少し前に場内が暗転し、重々しいSEと共にメンバーが入ってきました。最後にEddieが登場すると、ひときわ大きな拍手。そして……。

- - Night After Night
- 日本のファンを意識したこの曲からスタート。Eddieの早いシンセフレーズからダイナミックなリズムが展開します。メインリフを弾きながらEddieがちらりと客席を向いて、にやり……じゃなかった、にこりと笑ったときには目が合ったような気がしましたが、Eddieはサングラスをかけているのでそれは多分錯覚。そして後半のオルガンソロも、アルバム『Night After Night』に収められた貫禄のあるソロをほぼそのままなぞってくれました。それにしても、この曲を再び生で聴く機会が得られるとは(早くも感涙)。
- - Alaska
- Eddieの奏でる重低音が鳴り響き、時折オーロラの輝きを思わせるような高音の煌めきがかぶさります。そしてキャラキャラとシーケンスフレーズがフェードインしてドラムの4カウントから、激しくイン・テンポ。Marcoのドラムが炸裂します。
- - The Only Thing She Needs
- 「Alaska」から「Time To Kill」へは行かず、間髪入れずにカコカコしたオルガンのリズムに移って、この曲。そしてリズムセクションが全開になると、MarcoとTreyの二人によってすばらしい疾走感で曲がぐいぐい引っ張られていきます。ただ、この曲に至ってやはりヴォーカルの弱さがはっきりしてきました。決して下手だとか声質が悪いとか言うわけではないのですが、なんと言ってもJohn Wettonの圧倒的に説得力のあるヴォーカルと比べると、Aaronの声の線の細さは否めません。それをリカバーするかのように、後半は舞台前面に出てきたEddieのブルーのヴァイオリンが突き刺すような音色で聴衆を煽ります。そしてギターが高速フレーズでワンポイントリリーフをしてEddieがキーボードに復帰するのを待ってから、Alexの流麗なギターソロにつなぎました。
立て続けに3曲演奏されたところで、Eddieが舞台中央に出てきてMC。第一声は「コンバンワ!アリガトウ!」。にこやかな表情で、前に日本に来て「See you soon.」と言ってから30年もかかってしまったが、こうして演奏できてうれしい、今日は来てくれてありがとう、といった挨拶の後に、客席最前列に陣取っている世界各国からのコアなファンたちを紹介しました。
- - Houston
- 新譜『Radiation』からの最初の曲は、アコースティックなこの曲。Marcoがドラムセットの前の椅子に座り、アコースティックギターをスティックで叩いてコードを鳴らす上に、EddieのシンセとAlexのふわっとした白玉が重なります。Alexは右手に何かを握り持っていたようですが、何だろう。E-BOWかな?そして中間部の印象的なソロは、座り込んだ姿勢のTreyが両膝の上に渡したウォーギターで出している音。Aaronのしみじみとしたヴォーカルも、聴きどころでした(Treyのソロからヴォーカルパートに戻るときにリズムを見失っていたけれど)。
- - Eddie Solo
- Eddie一人が残って、キーボードソロ〜ヴァイオリンソロ。まずはピアノの上に例のガラス玉が落ちて跳ねるような音が聞こえてきたので、ソロ作『Theme Of Secrets』からの曲だとわかります。最初のピアノパートは「Inner Secrets」?途中からリズムとAh音が入ってきて、これは同じモチーフによる「Theme Of Secrets」。ついで両手を組み合わせた早いフレーズを含むピアノ曲になりましたが、これは『The Green Album』の「Prelude」の後半でしょうか?そのままゆったりしたシーケンシャルなフレーズに乗ってEddieがヴァイオリンをとり、美しいメロディーを持つ「Nostalgia」。しかし、いつの間にかヴァイオリンにディストーションがかかり、ノイジーなソロ(Curved Airの「Vivaldi」を取り入れているかも?)へと展開していきます。途中で客席最前列にボウを持たせてヴァイオリンを手弾きする場面も交え、かなりの長丁場をヴァイオリン一本で弾ききりました。
- - Trey / Marco Duo
- TreyとMarcoの二人にバトンタッチ。Treyの両手タッピングによる細かくユーモラスなウォーギターと、Marcoのダイナミックなドラミングによるデュオです。
- - Alex / Marco / Trey Trio
- Alexがステージに戻ってきて、まずは静かに爪弾くようなギターのソロによる「Legend」。そこにリズム隊がアコースティックな味わいで加わり、徐々にヒートアップしてギタートリオとしてのフリーな演奏に展開します。Alexのギターからは時折、Allan Holdsworthを連想させる流れるような、しかしハードな音色の高速フレーズが紡ぎ出され、最後には非常に複雑なリズムパターンでの長〜いユニゾンを3人で(Marcoは楽譜を見ながら)決めてくれました。〔→11日のレポートも参照〕
- - Marco Solo
- 前の曲から、そのままハイテクドラマーMarcoのドラムソロへ突入します。このソロは、私の乏しいボキャブラリーでは説明不能。笑みを浮かべながらすごいことをやっていて、パワフルな四つ打ちリズムの背後に細かいハイハットワークが隠されていたり、信じられないスピードの片手スネアロールを維持しながら右手でタムを叩き回ったり。しかも、華麗なスティック回しや派手なシンバルワークなど視覚面も忘れてはおらず、Carl Palmerばりのサービス精神も発揮された長大な(20分くらい?)ドラムソロでした。
- - Tu-95
- 新譜からのインスト曲。メインリフはヴァイオリンとギターのユニゾン、やがてテンポが変わりギターの怪しげなアルペジオが入って、Treyのウォーギターの分厚い音圧に乗ったヴァイオリンソロから、ついでヴァイオリンを脇に抱えたまま刺激的な音色のシンセソロの後、AlexとEddieが舞台上で「さぁ、いくぞ!」といった風情でにらみ合ったところへスネアのロールがフェードインしてきて、最後のユニゾンフレーズへなだれ込みました。
- - Rendezvous 6:02
- 舞台上にAaron復帰。きみ、いたのか!と言いたくなるほど久しぶり感が漂います。Eddieのピアノのフレーズは美しいものでしたが、Treyのベース音(またはEddieの左手?)が妙に不協和だったような気がしました。しかし、中間部の太い音色のシンセソロは、相変わらず健在。そのかわりギターはほとんどお休み。
- - Carrying No Cross
- Alexが下がりキーボードトリオ+ヴォーカルの編成になって、U.K.の曲の中でも最も荘厳な、この曲。イントロの寄せては返す波のようなエコーピアノの音色もオリジナルを見事に再現し、哀愁漂うヴォーカルパートからリズム隊がフェードインしてのピアノ連打、緊迫感溢れるロングトーンのシンセソロから熱を帯びたリズムに乗ったオルガンソロ、急転直下のピアノフレーズが最後に両手を組み合わせた高速上行フレーズを奏でた次の瞬間に全楽器全力疾走になって、勇壮なメインテーマへとなだれ込むさまは、30年の時を経て再びこの曲に力強い命が吹き込まれたようでした。
- - Radiation
- 新譜のタイトルナンバー。不安をかきたてるウォーギターのうねり、華麗なシンセの高速パッセージ、存在感満点のドラムとギターからヴァイオリンへとつながれる後半の印象的なソロが、見事にステージ上で再現されていました。この曲が、これほどライブに映える曲だったとは!ただ気の毒だったのはAaronで、この曲ではヴォーカルにエフェクターをかけているのですが、そのせいかどうか音量がぐっと下がってしまい、ほとんどヴォーカルが聞こえない状態になってしまっていました。なお、中間のギターソロからヴァイオリンソロの終わりまではAaronがキーボードを弾き、一瞬の早業でマイクをとりあげてヴォーカルに復帰していました。
- - In The Dead Of Night
- MarcoとTreyがあの7拍子のややこしいリズムを紡ぎ出す中、Eddieが「ドウモアリガトウ!」とMCを入れ、手拍子を求めて、本編最後は名曲「In The Dead Of Night」。U.K.でのデビューアルバム『U.K.』に収録されたバージョンですが、ギターのフレーズはAllan Holdsworthそのままではなく、Alexの工夫が随所に盛り込まれたものになっていました。
ここでメンバーはいったん下手の袖に下がり、アンコールの演奏を求める手拍子が客席から鳴り響きます。再び出てきたEddieの手にはクリスタルのヴァイオリンが握られており、それを見た聴衆は大興奮。
- - Larks' Tongues In Aspic - Part 2
- Alexがイントロのギターリフを鳴らした瞬間、会場にどよめきが湧きました。まさかこの曲を持ってくるとは!Eddieも乗りに乗っており、リズム隊のキメではボウをくるくる回し、ヴァイオリンの聴かせどころでは強烈に刺激的な音色でヴァイオリンに悲鳴をあげさせていました。Eddieがこの曲を弾くのは昨年夏のロシアでの「King Crimson Festival 2008」の映像で見てはいましたが、そのときはTony LevinやAdrian Belew、Pat Mastelottoとの共演。つまり準本家(←Frippがいないので)Crimsonでの演奏でしたし、NYCでのUKZファーストライブでもTonyとPatを加えたセッションでこの曲を披露したとのことでしたから、今日ここで聴けるとは予想外でした。
- - Caesar's Palace Blues
- 「もう一曲!」とEddieが指を一本立てて、彼のヴァイオリンを最大限に活かす「Caesar's Palace Blues」。すばらしい演奏でしたが、Eddieのコーラスがなかったのと、最後の高速アルペジオで低音弦でのフレージングが省略されていたのがちょっと残念。
- - The Sahara Of Snow - Part 2
- 最後はリズム隊が途切れなくリズムをつないで、U.K.からBrufordに引き継がれた曲である「The Sahara Of Snow」の後半部。この曲ではAaronはストラトを弾いていました。そして最後の最後、EddieはMarcoの前に立ちはだかって、指揮者のように指を振るい大団円を演出して、すべての演奏を終えました。
ヴォーカルの弱さが気にはなった(終演後に並んで挨拶するときAaronがちょっと悄気ているように見えたのは気のせい?)ものの、インストパートに関しては文句なしのちょうど2時間の演奏が終わって、興奮も冷めやらぬままにサイン会。Eddieが応じてくれるということで、会場で販売されていたCDやTシャツにサインをしてもらおうと長蛇の列ができました。難波弘之氏の姿も横目で見たりしながらゆっくりと列が進むうちに、後片付けを終えて出てきた他のメンバーはエントランスのところで勝手に記念撮影やサインに応じていましたが、やがてEddieを置いてフツーに会場の外へ歩いて出て行ってしまい、残されたEddieは1時間余りも一人でサインし続ける羽目に……。その最後の方になって、ようやく私もEddieの前に立てました。
「(親しみやすい表情で)ハイ!」
「30年前にもあなたに会ったんですよ」
「そう?日本青年館?」
「いえ、中野サンプラザで。そして今週木曜日にも、またお目にかかります」
「STBだね。どうもありがとう!」
しかし上には上がいるもので、30年前のU.K.来日時のツアーパンフ(日本版)を持ってきているファンがいました。物もちがいい人だなぁ。Eddieもこれには驚いたようで、手にとって1ページずつめくってしげしげと眺めていました。ともあれ、右がEddieのサインをいただいた『Radiation』。本当は2月にすでに購入してはあったのですが、サイン欲しさに会場で買い足してしまいました。U.K.時代の作品の紙ジャケもありましたが、UKZというバンド(の存続)を応援するならこちらを買った方がいいかな、と。まあ一種の寄付のようなものです。
Eddieは音楽的にも人間的にも我の強い人だと言われてきましたが、この日初めて間近に出会ったEddieの表情はとても紳士的かつ親しみやすく、握手をした彼の手は柔らかくあたたかでした。そして、聴衆のハートをがっちりとつかむエモーショナルでテクニカルな演奏能力を保持し続けていることを彼自身が証明してくれたことが、何よりもうれしかったライブでした。
東京二日目=今回の日本ツアーの最終日は、六本木のSTB139。ここでは


