Asiaのオリジナルメンバーによる前回のライブを見て、特にJohn Wettonの復調ぶりに喜んでから1年あまり。今度はこの4人では実に25年振りの新作『Phoenix』をリリースして、彼らは日本に戻ってきました。このアルバムもそこそこよい出来だと思いますが、そんなことに関わりなく彼らは私にとって世界遺産並みのリスペクトを払うべき連中なので、産業ロックと言われようがロートルと言われようがマンネリと言われようが脳軟化症と言われようが(←そこまでは言われていない……)四の五の言わずにチケットをゲット。まずは東京国際フォーラムです。

ステージ上の配置は昨年通りで、中央がJohn Wetton(以下「JW」)、やや下手奥がCarl Palmer(CP)、そして両翼は下手Steve Howe(SH)と上手Geoff Downes(GD)。GDのキーボードはさらに増えて9台を3方向に積み上げ、さらに手前に1台。例によってRolandのシンセが基本ですが、上手の一番上に乗っていたのはMoog Little Phattyでした。
19時10分に照明が落ちて、クラシカルな曲に乗ってライトショウ、2面のスクリーンにAsiaのロゴが稲妻と共に浮かび上がります。そして登場した4人が最初に演奏したのは意外!「Don't Cry」発表時のシングルB面の「Daylight」。これは聴いたことがないという客も多いのではないでしょうか。しかし、どうやらJWの声は今回も好調、そしてフットペダルの重低音もセンスよく決まります。続く「Only Time Will Tell」ではGDがシンセの音色設定を誤ったようで、イントロをちらっと弾きかけましたがすぐにストップし、あわてて設定を変えてからリスタート。「Wildest Dreams」の最後でJWがこの日一番のヴォーカルを聴かせたあと、ニューアルバムからの「Never Again」ではSHがアグレッシブなソロを披露しました。
復刻シリーズの一番手は「Roundabout」。1stヴァースはリズムがバラバラではらはらしましたが、2ndヴァースできっちり立て直し、昨年よりも引き締まったよい演奏となりました。この曲でも感じましたが、あのリズムの悪いCPが今回はかなりシュアなドラミングをしていて、どうやらJWのプレイをしっかり聴けている感じ。各曲のラストのキメでも、JWは後ろを振り向くことはないのにリズム隊がびしっと合うのがさすがです。続いて「Time Again」の後にGDのキーボードソロは「Cutting It Fine」のコーダ部分(「Bolero」)ですが、これは毎度あまり感心しません。SHのアコースティックギターソロは、何やら易しげなコード弾き(Yesの『Open Your Eyes』に収録されていた「From The Valcony」のモチーフが聴けたような気がしますが不明)から定番の「Clap」。さらにJWも12弦のアコギを持ってきて「Voice Of America」を朗々と聴かせましたが、JWの声がすばらしかっただけに、彼のギターがエフェクトかけ過ぎのチープな音になってしまっていたのが残念です。そのまま4人のアコースティックセットで「The Smile Has Left Your Eyes」「Ride Easy」(←シングル「Heat Of The Moment」のB面)と進み、エレクトリックセットに戻って大好きな「Open Your Eyes」。中間部のギターとシンセの平行ユニゾンがとても美しい。
復刻シリーズ二番手は、輝かしいトランペット音のイントロで「庶民のファンファーレ」。中間部ではSHとGDがインプロヴィゼーションで掛け合います。さらにスリリングな「Without You」、新譜からの「An Extraordinary Life」と進んで、「宮殿」「ラジオスターの悲劇」が昨年と同じアレンジ&演出(GDのラメ服・サングラスとかJWのハンドマイクとか)で続きます。このあたりは工夫が無いとも思えますが、やはりCPが安定しているので安心して聴けるし、「ラジオスターの悲劇」はとにかく理屈抜きで楽しく、大勢の客が踊り出します。さらにJWの「ドラムソロが聴きたいかい?」というMCに続いて、「The Heat Goes On」からドラムソロ。相変わらず見栄えのするスティックさばきで客席を湧かせていましたが、レギュラーグリップ一辺倒のCPがこのソロの中で部分的にマッチドグリップを見せたのが斬新に感じました。そして本編最後はお約束、大ヒット曲の「Heat Of The Moment」。GDはショルダーキーボードでファンサービス。
アンコールは2曲。「Don't Cry」はSHのスティールギターがあまりにも音程が悪く残念な演奏でしたが、最後の「Sole Survivor」はベースペダルの重低音の上に安定したベースとドラムのシャッフルが乗って、原曲とアレンジを変えていないにもかかわらずマーチ風の不思議なリズム効果が生まれていました。
ショウの構成としては、各人のルーツ曲はなくして新譜からの曲をもっと採り上げてもらってもよかったように思います(たとえば「Alibis」「Shadow Of A Doubt」あたりはライブでも聴いてみたかった)が、演奏自体は上述のようにリズム隊の二人がよく、JWのヴォーカルも好調で「すごい!」と感動する場面が何度かありました。GDは堅実で、SHはピッキングが甘くリズム・音程とも要改善。
さて、明日はどうなるでしょうか?


