アントニオ・カナーレス
フラメンコ・ダンサーとして人気が高いアントニオ・カナーレスと彼のカンパニーの舞台を、赤坂ACTシアターで観ました。
1961年セビリア生まれのアントニオ・カナーレスは、スペイン国立バレエ団から独立したあと1992年に自身のカンパニーを結成し、ダンサーとしてのみならず振付家としても活動している、現代フラメンコ及びスペイン舞踏のリーダーの一人。
……という触れ込みでチケットをとったのですが、京都でフラメンコを習っている友人にメールで聞いてみると、彼女の先生は以下のような反応だったとか。
「有名なんですか?」
「うーん。僕があっち(スペイン)に行っている頃からもう自分でメンバーつれて活躍してたよ。でも、踊りは見る人の好き嫌いがあるからね」
「個性的ってことですか?」
「そうね」
なんか不安だなー、と思いながら迎えた当日。さほど広くはない会場の、席は前から7列目の一番左。演目は下記のとおり。
| サンブラ |
|
| クラケット |
マヌエル・ブランコ
ポル・バケーロ |
| タンゴス |
アントニオ・カナーレス
フアナ・アマジャ
フアン・デ・フアン |
| ブレリア |
モンセ・コルテス(歌)
ダビ・セレドゥエラ(ギター)
イバン・ロサーダ(ギター) |
| ソレア・ポル・ブレリア |
マヌエル・ブランコ
ポル・バケーロ |
| アマルゴ |
フアン・デ・フアン |
| (休憩) |
| ギター・ソロ |
ダビ・セレドゥエラ(ギター) |
| ソレア |
フアナ・アマジャ |
| タンゴス |
ホセ・ルイス・カルモナ(歌) |
| ソレア |
アントニオ・カナーレス |
| フィン・デ・フィエスタ |
全員 |
このプログラムでは、ストーリーのある作品はなく、主としてフラメンコの踊りと歌やギターのソロをつなげて構成されています。ステージの幕があくと、奥の高いところに右からヴァイオリン、フルート、パーカッション、カホン、カンテ(歌)が何人か(席から見えなかった)、下のステージ上右端にギターが3人並んで座っていました。楽器の音は非常にラウドに増幅されてスピーカーから爆音となって流れ、ライティングもバリライトを美しくダイナミックに使って洗練されたもので、先日の「ロード・オブ・ザ・ダンス」を思い出させました。オープニングの「サンブラ」のあと、若い二人のダンサーが白いシャツに黒い蝶ネクタイのいでたちでタップダンスを披露する「クラケット」。赤いドレスでど迫力のフアナ・アマジャが主役の「タンゴス」と続き、ハスキーながら力のある歌声がすばらしいカンタオーラ(女性歌手)のモンセ・コルテスのあとに、再び二人の男性ダンサーのサパテアードの応酬。そして前半の最後はフアン・デ・フアンのソロによる超絶足技。これは本当に凄かった。
後半も流麗なギターソロやカンテでつなぎながら、これでもかというばかりにダンサーの足技が披露されます。いずれの振付けも強烈な下半身の動きを前面に出し、ときに髪や腕までも振り乱しながらの回転が入りますが、ひたすらストレートにサパテアードの妙技を見せつけました。そのパワーには圧倒されると同時に、正直いって単調に感じられる部分もないではありません。たしかに「男踊りの場合は、それができなきゃー」の足技ではあるのですが、締めくくりのアントニオ・カナーレスのソロによる「ソレア」で、ダンサーとしてはかなり横幅のあるカナーレスが全精力を舞台にぶつける長時間のサパテアードには見ている方も疲労困憊といった感じです。
しかし、最後の「フィン・デ・フィエスタ」でバンドも含め全員がステージに立ち、ギターやカンテに合わせてダンサーたちが交代で輪の中に歩みでては即興で踊るシーンでは、やっとフラメンコのフラメンコらしい楽しみに会えたようで、うれしくなりました。