先週に引き続き新橋演舞場で、八十助丈による忠信の荒事が見どころの「鳥居前」、菊五郎丈の家の芸「身替座禅」、新之助丈が助六に初役で挑む「助六由縁江戸桜」の夜の部3本を観ました。当日券でとれた席は一階席の一番後ろ、花道のすぐ左。揚幕の裏で出のタイミングをはかる「はいっ!」という掛け声が聞こえるくらいの場所です。
鳥居前
「義経千本桜」から「鳥居前」は、火炎隈をほどこした八十助丈の忠信が怪しい霊力を発揮して群がる討手を次々になぎ倒す豪快な荒事の舞台。早見藤太のコミカルな悪役振りと凝った見ごたえのある殺陣が面白く、討手たちの見事な宙返りや「2000」の数字をかたどったポーズに一際の拍手。引っ込みの複雑な振りの六法もほとんど正面から見ることができました。
身替座禅
松羽目物の舞踊劇で、理屈抜きに楽しく、随所で劇場が笑いに包まれました。
助六由縁江戸桜
さて、今日の見どころは新之助丈による「助六」。父の当代團十郎丈による口上で始まり、華やかな吉原・三浦屋を舞台に日本一のいい男、花川戸助六を新之助丈が粋に演じてみせます。以前見た仁左衛門丈の助六もよかったのですが、やはり成田屋の新星が歌舞伎十八番に挑むのはまた格別で、題名に「江戸桜」を使うのも、「河東節御連中」になるのも成田屋ならでは。八十助丈が兄の白酒売新兵衛、團十郎丈がくわんぺら門兵衛、左團次丈が意休を演じて周りを固め、白玉に菊之助丈が回り、揚巻は親子どころか祖父と孫といってもおかしくないベテラン(昨年傘寿!)の雀右衛門丈がつとめる豪華配役に、新之助丈も期待に応えて堂々の舞台、江戸の華をそのまま身に纏ったような男振りでした。先週の菊之助丈といい今日の新之助丈といい、これからますます楽しみです。
なお、この芝居では股くぐりで通人・里暁がいろいろなお遊びを披露するのもお約束で、今日は白酒売新兵衛に股下をくぐれと言われて「超ムカツク!」と怒り、ロダンの「考える人」のポーズでくぐろか戻ろかと思案(英会話のNOVAのCMのパロディー)し、香水を振りまき、最後は携帯電話でNYの宇多田ヒカルにキスを送るという恐るべき趣向。