2004年10月

消耗

この週末は今年のわらじ納めとして那須の井戸沢に行くつもりでしたが、またしても、またしても、またしても(以下100回繰り返し)週末になると降る雨のため中止。このまま寂しく沢靴を押入れにしまうことになりそうです。これからはプラブーの季節ですからね。

で、日曜日は午前中PUMP2で練習。ミラーの5.10cを狙ったものの、途中で力尽きてワンテン。ホールドも悪くなくムーヴも頭を悩ますところはなかったのですが、レスティングが下手なのとクリップにもたつくのとでいつの間にか握力を消耗してしまいました。あぁ、なんたる低レベル……。最後はミラー左端の5.10bでお茶を濁して帰ることにしましたが、それにしても、上部のオープンブックでステミングで両手を離してレストしながらほっと幸せを感じる私は、どこかヘンでしょうか?

PUMP2

[2004/10/31]

氷解

以前紹介したDVD『Rush In Rio』の中に、次のような場面があります。

コンサートも終盤、長く複雑なインスト曲「La Villa Strangiato」のリズムがハーフテンポに変わったところで急に曲調がルーズなものになり、ハイテク集団Rushのお笑い担当とも言われるギタリストのAlex Lifesonがまるで酔っぱらいのようなふにゃふにゃのフレーズを鳴らしながらあらぬことを口走りだしたと思ったら、にやりと笑ってそれでは、私のバックアップバンド(?)を紹介しようとメンバー紹介。まずMilton Banana !と全然違う名前で紹介されたのがドラマーのNeil Peartで、ここでNeilはタムを使ってドンドコストトコとひとしきりリズムパターン。続いてOn the bass guitar, The GU〜Y From Ipanema.と紹介されたベースのGeddy Leeがタッタラ〜ラタッタッタラ〜ラ♪と例の「イパネマの娘(The Girl From Ipanema)」のテーマを弾いてAlexが踊ります。最後にAlexがまたしても訳の分からないメロディーを歌いながら自分のことをI'm Stan Getz !と自己紹介してさらにおちゃらけようとしたら、Neilが「いい加減にせんかっ!」という感じでスネアロールのクレッシェンドで割り込み、4カウントで強引に曲に戻るというもの。

GETZ/GILBERTOそれぞれの楽器を使って自在に会話する3人の練達のミュージシャンに舌を巻きつつも、実はここでのやりとりの意味が今ひとつわかっていなかったのですが、その疑問はこのボサノヴァの名盤『GETZ/GILBERTO』を聴くことで氷解しました。1950年代後半にリオデジャネイロで生まれたボサノヴァの牽引役となったギタリスト・歌手のJoao Gilbertoが、白人テナーサックス奏者のStan Getzと組んで1963年にニューヨークで録音したのがこれ。米グラミー賞で最優秀アルバム賞など3部門を受賞し、「イパネマの娘」のヒットもあってボサノヴァを世界に流行させることになった作品です。そして、AlexがNeilを紹介するときに口にしたMilton Bananaとは、このアルバムでもクールな演奏を聞かせているドラマーのことでした。

結局、Alexはリオのご当地ソングとして「イパネマの娘」を引用し、Geddyをその主人公に、Neilと自分を『GETZ/GILBERTO』の参加ミュージシャンにそれぞれなぞらえて4万人の聴衆に大ウケだったというわけですが、ただ、このアルバム自体はボサノヴァのニュアンスをつかめないジャズ・プレイヤーのStan GetzにJoao Gilbertoがキレながら制作されたという裏話もあり、確かに唐突にブロウするStanのサックスは木に竹を接いだ感がなきにしもあらず。それでも、あまりにも有名なオープニング曲は、Joaoの落ち着いたギターのリズム、作曲者Antonio Carlos Jobimの静かなピアノ、Stanの切ないテナーがいい感じ。そしてJoaoの妻でヘタウマっぽいAstrud Gilbertoの歌が、イパネマ海岸を颯爽と歩く小麦色の美少女の輝く若さと彼女に恋心を抱く若者のほろ苦い想いをシンプルな英語詞で余すところなく伝えて、文句なく素敵です。

Tall and tanned and young and lovely
The girl from Ipanema goes walking
And when she passes he smiles
But she doesn't see ...

[2004/10/30]

魅力

j.Traveling」をご覧になった方から、タイ国政府観光庁の日本事務所が立ち上げた「Sawaddee Thailand」というホームページをご紹介いただきました。

Sawaddee Thailand

Flip along Thailand with Kura © タイ国政府観光庁

そのメインコンテンツが、この「サワッディー、タイランド 一冊の本とボクの旅」。日本の大学生が一冊の本を手にタイを旅行するストーリー仕立ての観光ガイドということになっていて、バンコクの生き生きとした描写を中心にしつつ、アユタヤやカンチャナブリなども紹介されていますが、画像やテキストの大胆な動きと魅力的な写真・ビデオを組み合わせたFlashムービーが凄い!とてもよくできたストーリーの中にタイ好きにはこたえられない光景がちりばめられていますし、タイにまだ関心を持っていない人でもこのFlashムービーは一見の価値があります。ブロードバンド向け、要Flash Player。

[2004/10/25]

盛岡

盛岡へ、一泊二日で出張。某機関の情報セキュリティ研修の講師という仕事で、会社でのポジション的には私の本業ではないのですが、担当事業部が人手不足ということで駆り出された臨時講師というわけ。岩手県というと、以前八幡平から岩手山まで縦走したことがありますし、早池峰姫神山にも登ったことがあります。安比高原へスキーに行ったこともあったな。また、奥州藤原氏の前史、つまり安倍氏と源氏・清原氏が奥州の覇権を争った前九年の役や、その後の清原氏の内紛に端を発した後三年の役あたりの歴史は自分なりにけっこう研究したことがあるので、「奥六郡」としての北上川流域にはなんとなく親近感をもっていました。もちろん今回は観光ではなく仕事なのですが、二日間とも仕事は午後いっぱいで終わってしまうので、あいた時間を盛岡探訪にあてるのも悪くはないでしょう。

盛岡駅

10月20日

朝東京を発って盛岡に昼前に着き、この日の講習会場へ。タクシーで移動の途中にふと見るとバス停の地名が「前九年一丁目」とあって、さすが盛岡という感じです。そういえば、安倍氏が滅びた厨川柵は今の盛岡のすぐ北にあったはず。……夕方までの仕事を終えて、いったん駅前のホテルにチェックインし、あらかじめ盛岡県人の知人・山ヤさんに教えていただいていた焼肉屋「盛楼閣」へ繰り出しました。ギンギラギンのビルの看板に「焼肉・冷麺」と書いてあって、これだこれだ、と入ってみました。最初にタン、ロース、レバとカクテキを注文。タンは厚みがあってしかも大きく、ロースはカルビなみの脂の乗り。レバもおいしくいただきました。そして盛岡と言えば冷麺。食べやすい長さに切ってあり、味も歯ごたえも適度のコシがあって、大変おいしくいただきました。お肉はおいしいし、締めの冷麺もかなりイケました。しかし、恥ずかしながら冷麺が盛岡名物だとは、実は直前まで知りませんでした(他に、わんこそばに代表されるお蕎麦が有名なのは知っていましたが、炒醤麺のうどん版であるじゃじゃ麺も人気なのだとか)。

GENプラザ焼肉冷麺盛楼閣

焼肉

冷麺

すっかり満腹になってホテルに戻りテレビをつけてみると、世の中は大変なことになっていました。超大型の台風23号が高知から大阪を経て既に岐阜あたりに達しており、東京も間もなく暴風域に入るのだとか。皆、大丈夫だろうか?盛岡は遠すぎて平和だぞ、と思いながら就寝。

10月21日

朝、テレビのニュースを見るともっとすごい状況でした。台風は中部〜関東を縦断し、この間に各地で高波や氾濫、土砂崩れを巻き起こして、何十人もの人が亡くなったり行方不明になっていました。兵庫県の豊岡では町中水浸しだし、富山湾では帆船海王丸が強風のため錨ごと流されて座礁しています。まさしく激甚災害。しかし台風は既に東の海上に抜けて温帯低気圧になるところで、盛岡市内は曇り空ながら雨も風もなく穏やかなものです。とはいえすぐに活動を始める気分にならず、9時半から大リーグの野球中継をしばらく見ていました。松井のいるヤンキースとレッドソックスがワールドシリーズ出場権を賭けた最終戦でしたが、ヤンキースの先発の調子が悪く試合は一方的で、初回にツーラン、2回に満塁ホーマーをくらってはどうしようもありません。早々に観戦を諦めて外に出ることにしました。

ホテルのフロントで教えてもらった通り、駅前から出ている100円均一の循環バスに乗り、県庁あたりで降りてまずは「石割桜」を見ました。確かに立派な桜の木が石の割れ目に立っているのですが、これは桜が石を割ったのか、それとも石の割れ目に桜が生えたのか、どちらなのでしょうか。いずれにせよ、春に見れば見事な光景に違いありません。

石割桜(表)

石割桜(裏)

裁判所の前にある石割桜。表から見ても裏から見ても、ちゃんと石を割っています。春は壮観だろうな。しかし、どうやって栄養分を摂ってきたんでしょう。さて、そこから商売道具をがらがらと曵きつつしばらく歩いて、今度は「鬼の手形」なるものを見に行きます。これは小さな神社の中にある大きな石で、そこに鬼の手形のような凹みがあるということらしいのですが、あまりにも立派な石の姿についついボルダリングの感覚で「ここをスタンスにして、この甘いホールドでレイバックにして……」といった具合にオブザベーションに夢中になってしまい、どこに手形があるのか探すのを忘れてしまいました。

岩手病院の宮沢賢治詩碑鬼の手形

左:町中にふいっと現れる岩手病院の宮沢賢治詩碑。宮沢賢治はここで中学卒業後間もなく1ヶ月程入院し、その間に看護婦さんに恋をしたようです。ん?どこかで聞いたようなシチュエーションだが……ね、山ヤさん?

右:神社の中にある「鬼の手形」。昔この地方に住んで住民や旅人を悩ませていた羅刹を三ツ石の神が捕らえ、二度と悪事を働かないという約束のしるしにこの岩に手形を押させて逃してやったのだとか。これが「岩手」の県名の由来だと近くの説明書きには書いてありました。しかし、私はと言えば右の石の正面壁にクラックのルートを見いだして大喜び。注連縄さえなければ間違いなくボルダリングの対象となるところなのですが、うーん、惜しい!

「鬼の手形」から少し歩くと「五百羅漢」のある報恩寺。ずいぶん立派な山門に少々驚きながら境内に入り、正面の階段を上がって左手に回ると羅漢堂に通じる廊下があって、薄暗い羅漢堂の中には金色のたくさんの羅漢たちが思い思いの姿で居並んでいました。怒っている者、笑っている者、穏やかに瞑想している者、気難しそうな顔をしている者、隣の羅漢とおしゃべりをしている者などなど、よくこれだけリアルで個性的な羅漢を揃えたものだと感心するばかり。

報恩寺山門

報恩寺境内

何層にも居並ぶ羅漢五百羅漢がある報恩寺の山門と境内。1394年に南部藩十三代守行公によって三戸に創建され、1601年二十七代利直公のときここに移転されたという由緒正しい寺院。見事な構えです。

羅漢堂の内部

こわもての羅漢

居眠りする羅漢

顔を見合わせる羅漢

報恩寺の羅漢堂。さまざまな顔かたちをした羅漢たちが、好き勝手なポーズで居並んでいます。中国の天台山の像を模して京都で造られ、ここに搬送されたのだとか。ひとしきり羅漢たちと対話した後、近くの蕎麦屋で門前蕎麦なる冷たい蕎麦を食べて、午後の仕事へと向かいました。

2日目の研修を終えて、盛岡駅まで約20分の道を歩くことにしました。北上川の支流・中津川を渡るときに、西の空にきれいな夕焼けとたおやかな山々のシルエットが見えました。数年前、日本百名山を登り終えたときには、これからは東北や北海道の心和む山々をゆったり丹念に歩いてみようと思っていたのに、どこでどう間違って極道……いや、クライミングの道に足を踏み入れることになってしまったのだろう、などと思いながら、盛岡駅までの道をとぼとぼと歩き続けました。

さようなら盛岡

仕事を終えて駅へと向かう道すがらの光景。さようなら盛岡、また来る日まで。ちなみにお土産は期待に応えて冷麺セットにしようかと思いましたが、やっぱりこういうのは現地で食べてこそおいしいんだよな、と思い返して、小岩井農場の小ぶりでかわいいジャムを買い求めました。

[2004/10/21]

応募

FeedbackRushのデビュー30周年記念EP『Feedback』は、ファンへのちょっとしたプレゼントといった趣きのカバー集。メンバー3人が10代の頃に聴き、あるいは彼らのキャリアの初期におけるバンドで演奏した曲の数々が、今のRushによってフォーマットし直されて演奏されます。収録されている曲は、次の通り。

  1. Summertime Blues (Eddie Cochran)
  2. Heart Full Of Soul (The Yardbirds)
  3. For What It's Worth (Buffalo Springfield)
  4. The Seeker (The Who)
  5. Mr.Soul (Buffalo Springfield)
  6. Seven And Seven Is (LOVE)
  7. Shapes Of Things (The Yardbirds)
  8. Crossroads (CREAM)

Buffalo SpringfieldとThe Yardbirdsが2曲ずつと偏っていることや、彼らのルーツにあたるLed Zeppelin の曲が入っていないのが少々不思議ですが、Jeff Beck在籍時のThe Yardbirdsのいかにも60年代っぽいポップな曲の前と後、つまりこのEPの最初と最後に配置された「Summertime Blues」と「Crossroads」のタイトな演奏が素晴らしく、特に冒頭に刺激的なギターのフィードバック音(EPのタイトルとのひっかけ?)をフェードインさせるオープニングナンバーの「Summertime Blues」は、ギターソロが彼らの初期の雰囲気に戻って「手癖まかせで適当に弾いてみました」という感じでありながらリズムセクションは今のRushの緊密さをしっかり聴かせる堂々の仕上がりです。

しかし、1984年の最初にして今のところ最後の来日以来20年間の長きにわたり彼らのライブを待ち焦がれている日本のRushファン(つまり私)が、全体で30分弱とあまりにもさっぱりしたこのEPに満足するはずもなく、30周年記念ツアーを日本に呼べなかったプロモーターを糾弾したくなってきます。ツアーのプランが明らかにされた時点では真剣に北米ツアーへの参戦(?)を考えましたが、今年はスイス旅行を夏に入れていたためその夢もかなわず、DVD『Rush In Rio』を観てはお茶を濁す毎日。

ところで、日本版CDの帯を見るとRushメンバー・サイン入り楽器が当たる(かも知れない)とのことですから、これは応募しない手はありません。当然希望は「ゲディ・リー」サイン入りベースで、機種はきっとここ数年彼が愛用しているFender Jazz Bassでしょう。これは楽しみ。ジャズベは、ネックが握りやすくて本当に弾きやすいんですよね(←すでにもらえるものと思っている)。

プレゼント

[2004/10/16]

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